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イベント
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昭和のくらし博物館
お手伝い
|2025.03~
展示のその先に、くらしと表現があった。
博物館で演劇を。夢を初めて受け入れてくれた場所
東京都大田区にある「昭和のくらし博物館」で、展示ガイドのお手伝いをしています。
大学時代に学芸員実習でお世話になった、私にとって特別な場所です。
この博物館は、昭和26年に建てられた一軒家を、そのまま家財道具ごと保存・公開しており、実際の生活の場だった空間をまるごと展示しています。

初めてこの博物館を訪れたのは 、『この世界の片隅に』の原画展がきっかけでした。小学生の頃にこの作品に出会い、芸術の世界に惹かれるようになった、私にとって大切な映画です。
美術館や博物館では、展示品が主役であるため、場所そのものを活用するという発想は敬遠されがちです。でもこの博物館では、「場」自体を活かすことが前提にあり、来館者が空間ごと楽しめるような工夫がされています。
「博物館や美術館で演劇をやってみたい」という、当時の私の思いを初めて肯定してくれたのがこの場所でした。
そのご縁から、社会人になった今も、展示ガイドや受付などのお手伝いを続けています。
来館者に展示をご案内する時間は、接客が好きな私にとってはとても楽しく、時にはご年配の方に昭和のくらしについて教えていただくこともあります。
相手に合わせて情報を選びながらお話しするのは毎回新鮮で、ガイドに手応えがあると、ミュージアムショップでグッズがよく売れるような気がして、それがまたやりがいにもつながっています。
開館前の掃除では、はたきをかけ、畳を箒で掃き、雑巾がけをします。かつてこの家に住んでいた小泉さんご一家の暮らしを思い浮かべながら掃除をしていると、ご先祖さまに見守られているような気がして、自然と背筋が伸びます。

この博物館はNPO法人によって運営され、多くのボランティアの方々に支えられています。庭の草花の手入れや、着物をリメイクしたワンピースやもんぺの販売など、それぞれの得意を活かして関わることができる場です。
庭仕事の後にみんなでお茶をする時間も好きで、「リタイア後の“明日来る場所”」として、この博物館が果たしている役割に深く共感しています。これは、大学の博物館学で学んだ“生涯学習”のあり方そのものだと感じています。
そして、特にこの場所が好きな理由の一つが、学芸員さんの存在です。大学時代、企画制作を専攻していた私にとって、「あるものを活かして企画を立てる」姿勢を体現し、教えてくれた師匠のような存在です。
来館者だけでなく、実習生やボランティアなどあらゆる立場の人に心を配り、丁寧に接してくださる素敵な方々です。
夏には縁側でビールやラムネを飲みながらの音楽会、冬にはこたつに入っての落語会など、季節を感じながら楽しめるイベントもたくさんあります。ぜひ、遊びに来てみてください◎

夏は縁側でラムネ!

冬はビリビリ!障子張り!

夕暮れ時のお気に入りの景色